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手ぬぐいを染める

先日の大阪出張でおじゃました、注染工場。
HIROCOLEDGEの手ぬぐいを染めてくださっているところです。

注染(ちゅうせん)とは、その名の通り、染料を注いで染めるから注染。

明治時代に合成染料が輸入されるようになり、発展した染色技法。

手ぬぐい約20枚分の長さの晒(一疋(いっぴき/反物2反分)と数えます)を
手ぬぐいの長さに畳みながら、生地と生地の間に糊を置いていきます。
 
Photo
 
この写真、ちょっとわかりづらいですが、
職人さん右手の大きなボールに入っているのが糊。
土と海草でできていて、水洗いで落ちる天然成分の糊。
生地の上に型紙を置いて糊を引き、型紙を上げて生地を重ねて、型紙を置いてまた糊。
型紙を上げてまたまた生地を重ねて、型紙を置いてまたまた糊。
の、繰り返し。
わかりづらい?
これを見たらわかるかな?
 
Cyusen_process_2
 
重ねた生地を染料が貫通して、一度にたくさん染められる。
だから裏も表も同じように染まるし、とても効率のいい技法。
顔料でプリントするのと違って表裏がないし、
通気性や吸水性も損なわないのもいいところ。

 
糊を置く職人さんは、一日中糊置き。
各工程をその専門の職人さんが行なう、分業制。

糊置きの次は染め。

Photo_2
 
色と色の間に生クリームをしぼるように糊の壁を作って、染料をせき止めます。

色と色が接してる場合は、壁を作る隙間がないから2度染め。
つまり、すべての行程を2回繰り返す。
糊置きして染めて洗って乾燥×2
柄が複雑だと4回染めなんて場合も。すごい!


職人さんが持っているじょうろ。
このじょうろの口。水切れ良すぎ。
水切れが良くないと、染まってはいけない場所に染料がたれてしまうからなのですが、
これを作る職人さんがもういないって。
廃業していく注染工場から引き取って、大事に使っているそう。


伝統技術を残していこうと思っても、材料を作る人や、道具を作る人がいなければ、
その技術を活かす事ができない。
例えば、手ぬぐい制作の一部の工程で使われる道具がひとつないだけで、
注染はできないなんてことになる。
そうなれば、手ぬぐいは違う技法で染められて、
風合いが変わってしまうかもしれないし、値段だって高くなってしまうかもしれない。。。

世界中どこもそうだし、どの伝統技術をとってみても、そういう問題を抱えてる。


あ、話がそれましたが、染め上がり。
 
Photo_3
 
まだ濡れてるから、色が鮮やか。
写真は各工程のメインショットだけですが、実は、
合間にも細か〜い作業があって、すごく驚きました。
繊細にケアしながら、大胆に染める。
感動的。


そして、水元(みずもと/水洗いすること)。
  
Photo_4
 

自然乾燥。
 
Photo_5
 
6、7m程の高さからつり下げて乾燥させる。
上の方の足場に人がいるのが見えます。
すぐ乾くのも、手ぬぐいの利点。


この後、整理屋さんに引き渡し、きれいに皺をのばして、裁断。
手で一枚ずつ切っていくから、斜めに切れていたりする場合もあるけれど、
何度か洗うと、自然に緯糸(よこいと)がほつれてまっすぐになる。
そのほつれも、洗っているうちに生地の目が詰まってきて止まる。

そうそう、手ぬぐいの端がなぜ縫われていないかというと、
昔、下駄や草履の鼻緒が切れたときや怪我をしたとき、
手ぬぐいを手で縦に裂いて使っていたそうです。
手で裂きやすいというのがポイント。
そして、タオルの端のように厚い部分がないから、すぐ乾くし、雑菌も繁殖しにくい。
好きな大きさに切って使っても、もともと切りっぱなしだから気にならない。

もちろん手を拭くという用途のほかに、体を洗ったり、
ホコリよけや日よけに頭にかぶったり、首に巻いたり、腰に巻いたり。
たくさん使って風合いが柔らかくなったら、赤ちゃんのおむつに。
その後は雑巾に。
そして、昔はこの後にも用途が。
それは、お風呂を沸かすための燃料として燃やすということ。
綿100%だからできること。


タオルとはまったく違う存在。
江戸時代はリサイクルが当たり前だったという。
まずは、その時代に存在していた精神性だけでも見習いたい。


この注染という技術は、かなり貴重。
工場や職人が減っているのは、必要がない時代だから?
手ぬぐいは最近かなり見直されてはいるけど、
新たに職人になる人が増えているわけではないし。。。。

でも、もしも時代に合っていないからと消えてしまいそうになっても、
未来に伝えていくべきものだと思う。
日本には、こんな特殊な面白い技術があったということを。
注染だけではない。
すべての日本の伝統技術、伝統文化に言えること。


手ぬぐいを手に取る時に、見た目の善し悪しだけでなく、
職人さんや注染という技術のことをすこしでも思い出してもらえたら私も嬉しい。


モノの裏側にあること、知れば知るほど愛着も沸く。

そのモノの裏側を知りたいと思ってもらえるようなもの、
興味を持ってもらえるようなデザインをすること。

それが私の役目。
  
 

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コメント

はじめまして。
28日国立新美術館で展示を拝見し鳥肌が立ちました。
久しぶりの衝撃です。
ありがとうございます。

投稿: ゆい | 2008年2月29日 (金) 14時57分

こんにちは。
とても嬉しいです。
ありがとうございます!

今後もどうぞ宜しくお願いいたします。
 

投稿: TAKAHASHI HIROKO | 2008年2月29日 (金) 20時19分

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